東京の大衆食のひとつ「ロメスパ」。
 それは“路面スパゲッティ” の略称で、主に東京都心を中心に発展した日本独自のスパゲッティ文化。1970~1980年代にかけて都内のオフィス街で誕生し、オフィスワーカーの需要に応えた「早い・安い・大盛り」の3要素を兼ね備えた業態である。
 先茹で(あらかじめ茹でておいた)のパスタをフライパンで焼き直すため調理時間が短い、カウンター席でサッと食べられる、本来のイタリアンにはない日本人の味覚にぴったりな「醤油味のスパゲッティー」などがメニューが存在するといった特徴があります。
2000年代に入ってあの『スパゲッティーのパンチョ』が渋谷に誕生し後に全国展開。ロメスパの知名度を高めるとともに再評価の契機をつくり現在に至っています。

ロメスパの中でもとりわけ老舗とされるのが大手町の『リトル小岩井』と銀座の『ジャポネ』の2店。
今回訪問した『ジャポネ』は1980年に銀座イングス内に創業。その立地の良さから近隣で勤めるサラリーマンなど多くの人々に長年愛されている。
『ジャポネ』で注文したもの
・ジャリコ(レギュラー) ¥750

会計は現金のみ。満席時は立て看板の前の待機列に並ぶ形式。タイミングによって列に並んでいる際にオーダーを聞かれる事があるのであらかじめ注文を決めておくのが無難。
飲み物はカウンター席の中央に麦茶の入ったポットとコップが置かれてありセルフで注いで自席に運ぶスタイル。
 メニューは和風の「明太子」(塩味)、「ジャポネ」(醤油味)、「ジャリコ」(醤油味)、中華風の「チャイナ」(醤油or塩)、洋風の「ナポリタン」(ケチャップ味)、「インディアン」(カレー)、「バジリコ」(塩味)の7種。
 サイズは「レギュラー」(並)、「ジャンボ」(大盛)、「横綱」(特盛)の3種がある。
ジャリコ(レギュラー)

「ジャポネ」と並ぶ看板メニュー「ジャリコ」。
具はエビ、豚肉、シソの葉、トマト、シイタケ、オニオン、コマツナ。醤油で味付けした「日本人による、日本人のためのスパゲッティ」。

先述の通り先茹でしたパスタを具材や調味料と一緒にフライパンで一気に炒めている。
太麺だがよく水を吸ったやわやわとした食感。表面積の大きな麺が余すところなく調味料をまとってくる。


食べてみて分かったのは、「醤油・油・シソ」の三者のバランス感が最高。
キリッと塩気の効いた醤油のシャープさに、焼きそばのようなB級グルメ感のある炒め油のコク。そこにシソの葉の清涼感がまるで「暗闇の中の一筋の光」のように差し込む。ジャンクフードぽさがありつつシソのさっぱり感が絶妙でこのメニューが長年愛されている理由を一口で察することができた。
エビの風味のよさや醤油をよく吸った豚肉、コマツナの葉物野菜特有の苦みが彩りを添えてくれる。


卓上の粉チーズをたっぷりかけて味変。チーズ特有の風味が加わってこれも美味い。
あとがき
以上、東京の大衆食文化のひとつロメスパの代表的存在『ジャポネ』でした!
 余談となりますが著者の隣客は仕事の休憩中とおぼしき腹の出たサラリーマン風の中年男性。彼はスマホを見ながらリラックスして音を立ててパスタをすする。
 もしパスタの本場であり伝統食としてパスタを愛するイタリア人がこの「醤油味のパスタを音を立ててすすって食べる」光景を見たら卒倒するのではないかと心配してしまうが、日本人の味覚によりそった味付けと大衆食らしいある種の“ゆるい雰囲気”こそロメスパの良さなのかもしれないと感じた瞬間でした。
場所柄、銀座や有楽町などからアクセスも良く、さらに通し営業で訪問しやすいので是非お試しいただきたい。
メニュー表のギャラリー


お店の基本情報
店名:ジャポネ(JAPONE)
業態:スパゲッティ専門店(ロメスパの代表格)
所在地:
東京都中央区銀座西1-2 銀座インズ3 1階
最寄駅:
・有楽町駅(京橋口)徒歩約2分
・銀座一丁目駅(1番出口)徒歩1分内
創業年:1980年(昭和55年)
営業時間:
月〜金 10:30〜20:00
土曜日 10:30〜16:00
定休日 日曜・祝日
席数:カウンターのみ 約10席
支払い方法:現金のみ(食券制ではなく口頭注文)
特徴:茹で置きの極太麺を炒め直す“焼きスパ”スタイル。
和風・中華風・カレーなど、日本独自アレンジのスパゲッティが中心。
銀座で40年以上続く庶民派老舗として知られる。
「ロメスパ(路面スパゲッティ)」文化の代表的店舗。
電話番号:03-3567-4749
予約:不可(来店順)
『ジャポネ』への行き方

地下鉄有楽町線の銀座一丁目駅の1番出口が最寄りです。

出口が銀座イングスに繋がっており館内へ。1Fのマクドナルドの奥の方に『ジャポネ』があります。
出口から店へは1分とかかりません。場所柄アクセスが良いので有楽町駅、東京駅、銀座駅、日比谷駅なども徒歩圏内です。

