
月島もんじゃストリート近くに面白そうなネオ居酒屋がある事を知り伺ってみました。
今回紹介する『酒房蛮殻(ばんかく))』は門仲の『酒亭 沿露目(ぞろめ)』、『酒肆 一村(いっそん)』の系列店として2022年にオープン。この系列はそれぞれの店にテーマがあり『沿露目』は日本酒とアテ、『一村』はレモンサワー、そして『蛮殻』はホッピーとシウマイという具合である。
本来は大衆的な飲み物であるホッピーにアレンジを加え洗練されたオリジナルドリンクにするという『蛮殻』の斬新なコンセプトが話題となり、2023年4月刊行『GQ JAPAN』では「特集:おいしい“立ち食い”」、2022年7月刊行『BRUTUS』 連載「グルマン温故知新」において「ちょっと一杯、で終われない魅惑のホッピー酒場」、2022年4月刊行『LEON』 グルメ特集「シュウマイで史上最高のホッピーを飲む」など雑誌で何度も特集が組まれています。
 古民家の長屋を改装したという店内はヴィンテージ調の家具や食器で統一感があり、レトロさとオーセンティックさが混在した「懐かし新しい」雰囲気。仕立ての良い白のスーツに蝶ネクタイでパリッとキメた店主様の佇まいもその雰囲気に拍車をかける。
 スタンドバー形式で店の方との距離も近くおひとり様でもホッピーと創作性の高い料理をお供に、店の方と他愛もない会話を楽しむ事ができる。
『酒房 蛮殻』で注文したもの
・ホッピーセット(竹)      ¥2200
・穴子煮こごりと蛇腹胡瓜   ¥600
・実山椒ホッピー                 ¥800
・羽前白梅 ちろり 純米吟醸 ¥700
もちろんアラカルトで注文する事も可能ですが、人気なのは“とりあえずのファーストオーダー限定セット”の「ホッピーセット」だ。
グレードごとに「梅・竹・松」の3種があり、それぞれ以下がセットになっている。今回は「竹」を注文して楽しんできました。
■梅 :ホッピー1種、シウマイ1種、おまかせ惣菜
■竹 :ホッピー1種、シウマイ3種食べ比べ、おまかせ惣菜、本日のお刺身
■松 :ホッピー1種、シウマイ3種食べ比べ、おまかせ惣菜、本日のお刺身、お好きな春巻、本日の茶碗蒸し

マッシュルームのすりながし(お通し)

お猪口に注がれた「すりながし」。
本来なら料亭や割烹の会席料理の椀物として出てくるこの料理をスタンドバーで提供。しかも和の食材ではなく敢えてマッシュルームをベースにするという遊び心も実に小粋だ。

トロトロとしたクリーミーな舌ざわりに加え、冷製スープを彷彿とさせるような凝縮されたマッシュルームのうま味につい目を細めてしまう。
土佐酢で漬けた胡瓜のサンドイッチ

ここから「ホッピーセット(竹)」の前菜に突入。前菜でまさかのサンドイッチがやってくるのが斬新。
「優しい土佐酢」に「ツンとしたマヨネーズ」の2種類の酸味感に加え、ホワホワとした柔らかく滑らかでシルキーな食パンの生地の食感がたまらない。
南瓜の煮付

前菜の二品目は「南瓜の煮付」。ホクホクとした南瓜の繊維に出汁感ある煮汁が染みており美味。
器もいちいち凝っており、舌でも目でも楽しめる。
寒ブリの炙り

「本日のお刺身」はサシの入った豪勢な寒ブリ。ビジュアル的にも華がある。

この見た目通りに甘い脂をたっぷりと蓄えており口の中に入れるとトロける食感。一方で皮目の方はスモーキーな風味をつけるように炙られており最高。
脂の甘さが強いのでシンプルに粗塩に山葵がよく合う。
シウマイ3種食べ比べ


厨房内の蒸し器で調理したばかりの熱々のシウマイ。左から「羊」、「牛」、「豚」の3種である。


まずは「羊」から。こちらは香草やスパイスが練りこんでありエスニックな要素を感じさせる。
卓上の麻辣胡麻ダレをかけていただく。ホクホクとした皮の食感に加え、羊肉特有のややクセ感ある風味、ゴマのまろやかさと麻辣の辛さ、豊かなスパイスの複雑性ある味わいを楽しんだ。

続いて「牛」。すだちポン酢でいただく。
牛肉らしい濃厚な風味とゴロゴロとした粗挽きの力強い食感、そこにすだちポン酢のさっぱりした味が引き算のように作用。

最後は「豚」。こちらは王道の辛子醤油で。
こちらは皮がたっぷり肉汁を閉じ込めておりかみ締めるとジワッとうま味が「爆発」する。三者三様のシウマイを楽しめて大満足だ。
ハーフホッピー

「ホッピーセット」では白・黒・ハーフの3種のホッピーを一つ選ぶ事ができる。ハーフのホッピーって珍しいなと思い注文。
 『酒房蛮殻』のホッピーはグラス・割剤のホッピー・焼酎の3つをキンキンに冷やして提供。更に生ビールのサーバーから画像のようにまるでビールのように泡を乗せるのが特徴的。
 また一般的な店ならばホッピー1セットに追加の焼酎「ナカ」を注文して客側で濃さを調整しながら飲むところだが、『酒房蛮殻』では「ナカ」の概念がなくグラス一杯で完結して楽しめるように調整してくれている。
ホッピーの白の端麗さと黒のビター感、泡によるきめ細やかな舌ざわりも兼ね備えた不思議な一品。
実山椒ホッピー

レモンサワー、焙煎茶、珈琲、トマト、チョコレートなどオリジナルフレーバーを使った多彩なホッピーも『蛮殻』の特徴のひとつだ。
季節のホッピーから「実山椒ホッピー」を注文してみた。

こちらも同じくビールサーバーで泡が乗せてありきめ細やかな泡立ちとともにアルコールの風味の中に山椒らしいピリリとした刺激が感じられる。
ホッピーに山椒が合うなんて発見できる店はおそらく日本中探しても此処だけだろう。
穴子煮こごりと蛇腹胡瓜

グランドメニューから「穴子煮こごりと蛇腹胡瓜」を注文。蛇腹状にカットした胡瓜もお見事でこの内容で600円は正直安い。

ぷるんとしたゼラチン質の煮凝りの中に穴子のうま味成分がたっぷり閉じ込められていて大変美味。
想像以上に穴子の風味が濃く山葵とあわせても相性抜群だ。
羽前白梅 ちろり 純米吟醸

ホッピー以外にも日本酒類も充実の『蛮殻』。
羽根田酒造(山形県鶴岡市)の「羽前白梅 ちろり 純米吟醸」を注文してみました。熟成酒らしい少し黄色がかった色味をしており、最初は円熟したほのかな酸味感も感じますが、後味は意外なほどにサラッと軽く綺麗で、日本酒の角の尖りが料理のノイズにならないまろやかな感じの一杯でした。
あとがき
以上、以前から気になっていた『酒房蛮殻』を楽しんできました!
オリジナルフレーバーのホッピーにシウマイをペアリングするという斬新な組み合わせに加え、クオリティの高い前菜や刺身、日本酒の品ぞろえも及第点。さらには素敵な古民家の格好良さや店員様の素敵な接客も素晴らしい。それでいて価格も手ごろと全方位に隙がなかったです。
月島の裏路地というロケーションも“隠れ家感”この店を知っていると一目置かれること間違いなし。デートなんかにもピッタリな店だと思います。後述の通り食べログ上から簡単にネット予約できるのでぜひお試しを。
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お店の基本情報
酒房 蛮殻(しゅぼう ばんから)
【住所】
東京都中央区月島1-25-7
【アクセス】
・東京メトロ有楽町線「月島駅」8番出口 徒歩約2分
・都営大江戸線「月島駅」徒歩2分ほど
【電話番号】
03-5859-5363
【開業日】
2022年1月11日
【営業時間】
・月〜金:17:30〜23:00(L.O.22:00)
・土・祝:16:00〜23:00(L.O.22:00)
※日曜・連休最終日は休みの場合あり
【定休日】
不定休
【席数・形式】
立ち飲み中心(カウンター約10席)
【予算目安】
夜:4,000〜5,000円前後
【支払い方法】
クレジットカード・交通系電子マネー利用可
『酒房 蛮殻』への行き方

地下鉄月島駅の8a出口より下車します。

駅前の上野月島線(都道463号線)南西(勝どき方面)へ歩きます。

キッチンオリジンが見えたら路地を右折します。


路地の中ほどに『酒房蛮殻』があります。駅からの所要時間は徒歩2分程度です。
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