
「男はつらいよ」の人情の町、葛飾区は柴又にやってきました。
実はこの場所に胡麻油を使った
昔ながらの江戸前天丼を出す明治創業の超老舗があるのですが…なんと臨時休業!
前日から天丼を楽しみにしてた私の口は既に
“天丼をお迎えするモード”だし、これは困った。
藁にも縋る想いでGoogle先生に「柴又、天丼」のスモールキーワードでお願い検索すると
すぐ近くに良いお店を見つけた!

…その店とは「天冨良 稲むら」。
稲村店主は1930年創業の銀座の老舗天ぷら
「天一」で30年務めたベテランの天ぷら職人。
2018年に独立して地元の葛飾区柴又に「稲むら」をオープン。
「天一」さんはいつも安定して美味しいので、
これはかなり期待が持てそうです!
店内は白色を基調とした明るい内装材に、厨房を囲うように無垢の木材を使ったL字型のカウンターが整然と並ぶ。
客席は油の嫌な匂いもしないし、お世辞抜きに隅々まで手入れが行き届いており清潔で居心地がよい。
天ぷら鍋を跳ねる油が金属製のフードを叩いてリズミカルに「コン・コン・コン…」と周波数高めの高音を奏でる。
さながら木琴のような少しくぐもった感じのある優しい音で、食べる前から店主が天ぷらを揚げる所作や音すらも楽しめてしまう。
「稲むら」で注文したもの
・天丼(松) ¥2400

香の物、赤だし付き。
ランチメニューの天丼は「竹」、「松」、「日替わり」、「特選」の4種ありました。
天丼(松)

「松」は海老2本、きす又は穴子半身、野菜3種。この日は穴子でした。

衣の表面はダイナミックに波打っている。
岩肌のようなゴツゴツしたテクスチャーが力強い舌ざわりとアトランダムな食感を生み出してくる。
その一方で油切れがよく、食べ進めていても
胃袋が油で重くなりにくい。
味付けは王道の甘辛いタレだが、醤油のキレ感がありつつ甘さは控えめでスッキリとした後味に感じた。

大きなな海老天。海老の素材自体がもつ甘味うま味と、ぶりんとした弾力感を最大限引き出す職人芸の妙が交錯する一品。

ホクホクとした繊維質な食感を活かした南瓜。
品のよい甘さと果肉感も印象的。

大きな穴子天を頬張って咀嚼するとホロホロと身が崩れて溶けゆく。よく乗った脂のジューシーさすら衣の中に閉じ込めたような極上の食感。

ししとうとナス。野菜類は瑞々しさを残しており、隆々とした衣との食感の振れ幅が大きく食べ応えがある。
写真撮影を失念してしまったが赤だしは蜆入り。
ツンとした爽やかな酸味感があり、油こい天丼の口直しに最適。

香の物も手作りだろうか?妙に丁寧で美味しく副菜のディテール部分まで手抜きなしの一食でした。
あとがき
以上、「稲むら」でした!
総評としては名店仕込みの地に足のついた天ぷらの調理技術に、店内の居心地のよさ、そして穴場という予想を超えて満足度の高い店。
柴又の某超老舗は臨時休業で外しましたが、
まさに「怪我の功名」。おかげでこの店に出会う事ができました!
食べ歩きしているとたまにこういう事がありますね。こういう予想外の出会いも食べ歩きの楽しさだと思うのです。
個人的に私の家から柴又は遠いのですが、
この方面に行く機会があれば次回はディナー時に再訪してみたいです。
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お店の基本情報
📍所在地・アクセス
- 住所:東京都葛飾区柴又4‑8‑7
- 最寄駅:京成金町線・柴又駅から徒歩約2分
🕰️営業時間・定休日
- 営業時間:
- ランチ 11:30–14:00
- ディナー 17:30–22:30(L.O.20:00)
- 定休日:毎週水曜日および第三木曜日
💺席数・支払い方法
- 席数:カウンター中心 約7〜9席、テーブル2席 計約9席
- 支払い:各種クレジット(VISA、Master、JCB、AMEX、Diners)可。電子マネー不可。PayPay利用可
「稲むら」への行き方

京成金町線の柴又駅を下車。


駅前の「フーテンの寅像と見送るさくら像」の横の道を線路沿いに南下します。

道沿いに「稲むら」があります。
駅から徒歩2分ほどで超至近。