
ご存じTVなどメディアにも多数の出演歴のある落合務氏の「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ(LA BETTOLA da Ochiai)」に久々に行って来ました。
直近の『ミシュランガイド2025』でビブグルマンに選ばれる超有名店。
「日本一予約の取れないイタリアン」の異名で知られていますが、実際は数カ月前から店の予約専用サイトから予約さえすれば普通に訪問できます。
たとえば目黒の焼鳥の名店「鳥しき」など、
「繋がらない電話をかけ続けないといけない熾烈な予約電話競争」のような、時間や労力を犠牲にする予約難度は特にないと思います。
イタリア語で大衆料理店を表す“ベットラの名の通り”味も凄く良いのに意外なほどお手頃。
私も大好きな店です。
落合務氏は1947年 神奈川県鎌倉市生まれ。
19歳でホテルニューオータニに入社しフランス料理を学ぶ。
28歳のときにフランス旅行の帰路でイタリア料理の魅力に触れた事がきっかけで、数年間イタリアで料理の武者修行をする。
帰国後、オープンしたばかりの赤坂の「グラナータ」の初代料理長を務め、1997年に独立して「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」を開店。
2005年にはイタリア政府より勲章「カヴァリエーレ章」を授与。
2009年に日本イタリア料理協会会長に就任(現在は名誉会長)。
2013年には厚労省より「現代の名工」として表彰を受ける。
2020年、紫綬褒章を受章。
このように落合氏は日本におけるイタリアンの第一人者として、その普及に大きく尽力しています。

各テーブルには落合シェフをデフォルメしたと思われるランチョンマットが敷かれており、可愛らしいですね。
ラ・ベットラ・ダ・オチアイで注文したもの
・Pranzo B (Bコース) ¥3630
・生ビール ¥770
ランチコースは、
2420円の「Aコース(前菜+パスタ)」と
3630円の「ランチBコース(前菜+パスタ+メイン)」の2種。
銀座のイタリアンの名店にも関わらず非常に良心的な価格設定です。
しかも前菜3種、パスタ6種、メイン2種の中から好きな料理を組み合わせる事ができ、自由度も高いです!

フォカッチャ

焼きたてのフォカッチャをすぐに切り分けてくれます。
イタリアンのフォカッチャって料理の合間に少しちぎってゆっくり食べる。気づいたらフォカッチャが冷めてた、なんて事も多いと思います。
…ですが、個人的にこの店は「焼きたてをすぐ食べて欲しい」です。
焼きだてだと、ホクホクとした食感としっとり感を両立した歯ざわりと温かさ、小麦の香りとほのかな塩気が一度に感じられます。
前菜:ヤリイカのグリル辛いトマトソース サラダ添え

トマトソースの赤とサラダの緑のビビッドなコントラストが映える一品。

サルサソースから酸味を除いたような、トマトのうま味成分と辛味のバランスの良いソース。
それでいてヤリイカの濃厚な風味も十二分に感じます。とくにワタの部分のほろ苦さを敢えて利用しておりイカ好きにたまらない。

ヤリイカは噛むと歯を押し戻してくるような、豊かな弾力感があります。火入れの具合も絶妙ですね。
秀味豚とカラブリア産 唐辛子のラグーソーススパゲッティ

ズワイ蟹のパスタや、ゴルゴンゾーラのパスタ、貝の小柱アーリオオーリオパスタにも惹かれましたが、個人的に好物のラグーパスタをチョイスしました。

秀味豚(しゅうみぶた)は群馬県の群馬ミートの銘柄豚でサラリとした軽い脂と、しっかりとした豚肉のうま味が特徴なんだとか。

ひときわ特徴的なのは「ひき肉の大きさ」。
大粒の肉が沢山入ってます。肉を頬張ってゴロゴロした食感を存分に楽しむ感じ。
もはやパスタというより肉料理といっても過言ではない程の肉の多さでした。
トマトソースは穏やかな酸味感とトマトのうま味が前面に出る。トマト単体の味をピリッとした唐辛子の辛さが味を引き締めており、「押して引いて」のバランス感が絶妙。
神津島産メダイのグリル

ソースは「ズワイ蟹と長葱のソース」と
「ドライトマトとオリーヴのタプナードソース」から選択式…どこまでも自由度が高いランチコースだ。

メダイの表面はグリルされており、皮目のパリパリ感がよき。やや塩を強めに効かせてありました。

写真が撮れてませんが身肉は歯を立てると「ホロホロ」と崩れる柔らかさを表現。
こちらも火入れの具合が完璧です。
ソースは野菜をベースにしたややトロみのある優しい出汁。
ところどころズワイのカニ身が入っており芳醇な甘味。小口切りのアスパラガスが季節感ある春らしい風味を表現していました。
あとがき
以上、「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」でした!
味のレベルは一流で銀座という立地なのに、好きな料理を組み合わせる自由度の高さや、前菜・パスタ・メインのランチコースが3000円台という破格の価格設定。
相変わらず良心的なイタリアンの名店だなと再認識いたしました。
落合シェフほどの名声と知名度があれば、客単価を上げて高級路線に絞って営業しても、一定数以上のお客さんが簡単に付いてくると思うのですが、あえて多くの人の手に届きやすい価格帯でランチコースを続けている姿勢と心意気が素敵ですね。
店の従業員の方も客席を見ていてコップへの水の注ぐタイミング、頻度も完璧。
やはり「非常に良い店」ですよ。ぜひお試しあれ。
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